未来のじぶんに、ちょっと先の気づきを
自分らしい働き方を見つけるためのコラム

近年、大人になってから初めて自分が発達障害であると分かる「大人の発達障害」に悩む方が増えているといわれています。検査の結果、自分に発達障害があると分かると、これまでの困りごとの原因が分かってほっとする反面「この年齢になって分かっても、もう手遅れかもしれない」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。また疑いがあっても、確定診断を恐れ、受診や検査をためらっている方もいるかもしれません。この記事では、大人の発達障害もしくはその傾向がある方に知っていてほしい障害者支援の内容と、社会で自分らしく活躍するための仕事・働き方に関する情報をお伝えします。
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大人になって発達障害だと診断されても手遅れではない!
結論として、大人になってから発達障害と診断されても、手遅れだということは決してありません。現在、発達障害の支援機関・サービスが拡充されており、大人でもサポートや専門的なトレーニングを受けることが可能だからです。
また、大人の発達障害に由来する仕事や職場での困りごとは、環境調整や合理的配慮を受けるとともに、自分でも特性を踏まえた工夫を凝らすことで解決に近づけます。自己理解を深めて必要な配慮事項を明らかにし、無理なくはたらける仕事を見つけて、より良い就業や生活を実現しましょう。
大人の発達障害は手遅れだと思い込んでしまう理由
実際にはそうでないにもかかわらず、なぜ多くの方が「大人の発達障害は手遅れだ」と考えてしまうのでしょうか。ここでは、大人の発達障害について悲観的なイメージを抱く方が多い2つの理由を説明します。
障害に対する知識不足
「大人の発達障害は手遅れ」だという誤ったイメージを植えつける主な原因は、障害の知識不足や思い込みです。障害に対する理解や特性に応じた対処法、支援サービスなどの知識がなく、手の施しようがないと思い込んでいるのでしょう。
また、発達障害は自分の努力で何とかなると思い込んでいるケースも多く、それが困りごとやトラブルの原因になることもあります。また、幼少期からの失敗体験の積み重ねから「何をやってもうまくいかない」と感じ、諦めてしまっている方も少なくありません。発達障害に関する正しい知識を得て、個々の特性を受け入れることで、適切な対処法がみえてくるはずです。
支援の遅れ
大人の発達障害に該当する方は、これまで診断や専門的な支援なく生きてきたことから、特性による困りごとが慢性化しているケースも珍しくありません。確かに、発達障害は早期発見と、特性に応じた速やかな支援の開始が重要です。子どもの頃に判明していれば、特別支援教育や療育など、適切な支援や訓練、障害者向けの職業紹介が受けられたという方もいるでしょう。
とはいえ、支援が遅れたからといって、必ずしも手遅れだとは限りません。いまから適切な治療や訓練、サポートを受けることで、状況改善が十分に見込めます。
【転職活動中の方へ】大人の発達障害だと分かったときにやるべき3つのこと

大人になってから発達障害だと診断されたことが、これまでの仕事や働き方を見つめ直すきっかけになることもあります。特性により、現在の仕事や職場で困りごとを抱えており、周囲の理解を得るのも難しい場合は、転職も選択肢の一つです。以下では、大人の発達障害があると分かった方が、転職活動を進めるうえで押さえるべき3つのポイントを紹介します。
相談先を確保する
大人の発達障害は、自己対処も大事ですが、まずは専門知識のある第三者に相談することが重要です。生活や就労など相談内容によって適した相談機関が異なるため、悩みや困りごとに応じた相談先を確保しましょう。なお、相談先に関する詳細は後述しますのでそちらをご参照ください。
自分に向いている仕事や働き方を知る
自分にはどのような仕事や働き方が向いているのかを知れば、より良くはたらける可能性が高まります。例えば、ASDのある方は、ルールやマニュアルが明確に整備されている仕事やイレギュラーな対応の少ないルーチンワーク、視覚情報への高い適性と興味・関心が活かせるものづくり・美術関連やIT系などの専門職が向いているといわれています。一方、ADHDのある方は、高い決断力や行動力、豊かな想像力と興味・関心の強いことに対する抜群の集中力などが活かせる、クリエイティブな業種・職種で強みを発揮する可能性が高いです。
とはいえ、上記の向き不向きはあくまでも一般論であり、個々の適性や障害特性によっても適した仕事や働き方が異なります。自己分析を深めたうえ、第三者の客観的な意見も取り入れつつ、どのような仕事が向いているか探っていくとよいでしょう。
障害特性に応じた対策を講じる
発達障害の特性がある方は、診断が確定する前から、さまざまな困りごとやトラブルに悩むことが少なくありません。解決のポイントは、障害特性を踏まえ、自分の得意・不得意や、できること・できないことを正しく把握することです。
例えば「多めに」「すぐに」といった抽象的な指示が理解しにくいなら「◯個」「◯月◯日◯時までに」と具体的な数字で示してもらうことで理解が深まります。マルチタスクが苦手なら、一連の流れを個別にタスク化して優先順位をつけ、一つひとつ行うといった工夫が必要です。
また、特性や困りごとへの対策には、個人の努力だけではなく、周囲の協力や合理的配慮も欠かせません。周囲に障害特性と必要な配慮事項を分かりやすく説明できるようになるためにも、自己理解と障害理解を深め、言語化できるようにしておくことが大切です。
大人の発達障害や仕事・働き方に関する悩みはどこに相談する?
大人の発達障害やそれに該当する方の仕事・働き方に関する悩みが相談できる6つの窓口の情報をまとめました。
精神科・心療内科
大人の発達障害のある方は、医療機関で正しい診断を受け、治療を継続することが重要だといえます。同じ障害であっても、特性や症状は人によって千差万別なので、自己判断で決めつけるのは誤解やトラブル、困りごとの深刻化を招きます。
なお、発達障害の専門は精神科もしくは心療内科です。継続的に受診し、治療やトレーニング、カウンセリングを受ければ、特性による困りごとや症状が改善する可能性があります。ただし、大人の発達障害の診断ができる医療機関は限られています。自治体によっては、Webサイトで医療機関の情報を公開していたり、外部の支援機関の情報を教えてもらえたりすることもあるので、チェックしてみるとよいでしょう。
また大人の発達障害の診断には、現在の状態だけではなく、生育歴も重要な判断材料となります。卒業した学校や就職先、勤続年数のほか、母子手帳、小・中学校時代の通知表、就学時の作文・作品などから得られる情報を事前にまとめておくことをおすすめします。
全国の障害福祉課・保健福祉センター
全国の市区町村役場に設置されている障害福祉関連の窓口や、厚生労働省が管轄する保健福祉センターでは、大人の発達障害に関する悩み相談を受け付けています。地域の福祉サービスの紹介や、近隣の医療機関の紹介も受けられます。発達障害と診断が下された際は、専門の支援サービスや障害者手帳の申請も受け付けているので、必要に応じて問い合わせてみてください。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは、発達障害のある方へ、地域性を活かした包括的なサポートを提供する機関です。日常生活や就労など幅広い分野に関する相談や発達検査、療育・教育や支援計画に関するアドバイスを提供しています。必要に応じて地域の関係機関と連携することもあり、より専門的なサポートや情報提供といった包括的な支援を受けることも可能です。
ハローワーク
全国のハローワーク(公共職業安定所)には、障害者専門窓口が設置されています。特性に合わせた働き方の相談や、障害者雇用枠を含む障害者向けの求人の紹介、就職活動の指導・アドバイスなどの提供が可能です。無料で利用できる公的支援サービスの一つであり、就労意欲のある多くの障害者が相談に訪れています。
障害者専門の転職・就職エージェント
大人の発達障害だと判明し、障害者雇用ではたらくことを考えているなら、障害者専門の転職・就職エージェントの利用をおすすめします。障害者専門の転職・就職エージェントとは、障害者雇用枠の求人紹介のほか、応募書類の作成や面接対策など専門的なサポートを提供するサービスです。障害者雇用に関する理解・知見のあるキャリアアドバイザーによる丁寧なカウンセリングに基づくサポートや、一般公開されない非公開求人の紹介が受けられることもあるため、特性に合わせて無理なく活躍できる仕事が見つかりやすくなります。
障害者向けコミュニティサイト
一人で悩んでいると、悪いことばかり考え、気持ちが落ち込んだりストレスが溜まったりしてしまいます。悩みや困りごとを抱えている方に必要なのは、誰かとの「つながり」をつくることです。あなたは一人ではありません。身近に相談できる相手がいなくても、障害者向けコミュニティサイトに登録すれば、同じような悩みを抱える仲間や理解してくれる相手がきっと見つかります。ユーザー同士で交流し、情報を共有し合うことで、心が軽くなったり、モチベーションが高まったりするはずです。
また、サイトによっては障害や障害者雇用への理解の深いプロの運営スタッフからアドバイスがもらえることもあり、困難を乗り越えるヒントが得られます。コミュニティには仕事に関する悩みや雑談などさまざまな種類があるため、自分に合うものを選びましょう。
大人の発達障害は適切な対処とサポートでぐっと生きやすくなる!

発達障害の特性は、困りごととして表面化することがある一方で、独自の感性や魅力的な特徴として現れるケースもあります。適切な治療や支援、合理的配慮を受ければ、より良い生活と就労が実現する可能性は十分にあるので、大人になって発達障害だと診断されたからといって決して手遅れではありません。弱みをカバーする方法を見つけ、強みを活かして活躍できる場を見つけるためにも、一人で悩むのではなく、相談できる相手を見つけましょう。
大人の発達障害に関する悩みを気軽に相談できる場所を探しているなら、障害者のためのキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」へ登録してみませんか。障害に関する悩みを持ちながらも、自分らしい仕事や働き方を実現しようとする方々が集う匿名性のコミュニティで、一緒に最初の一歩を踏み出しましょう。
就業意欲のある障害者向けコミュニティ
参加無料・匿名OK
戸田 幸裕
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員