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障害者雇用における定着率とは?離職理由・課題と安定就労するためのポイント

障害者雇用枠での就労を検討されている方は、「定着率」が気になっているのではないでしょうか。障害者雇用における定着率は、一般雇用と比べて低いのが現状です。だからこそ、ご自身の障害特性や症状に合った「無理なくはたらける仕事」を探すことが、障害者雇用で長期就労するために重要なポイントとなります。本記事では、障害者雇用における定着率や主な離職理由、安定就労するためのポイントを徹底解説します。

障害者雇用の定着率

障害者雇用における定着率について、公的機関のデータをもとに見ていきましょう。

障害種別の定着率

厚生労働省が2017年に公表した「障害者雇用の現状等」によると、一般雇用枠を含まない、障害者雇用枠における障害種別の定着率は次のとおりです。

障害種別   3ヶ月後の定着率1年後の定着率
身体障害者86.8%70.4%     
知的障害者91.2%75.1%
精神障害者82.7%64.2%
発達障害者92.0%79.5%

精神障害者の場合は1年後の定着率が7割を切っており、障害の種類によって差があることが分かります。詳細は後述しますが、障害者雇用枠における定着率は一般雇用枠と比べると低い傾向があります。

業種別の定着率

障害者職業総合センターが2017年に公表した「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、業種別の定着率は次のとおりです。

3ヶ月後の定着率 1年後の定着率
医療・福祉80.5%61.7%        
卸売・小売業77.1%57.6%
製造業76.9%60.2%
サービス業(その他)72.7%56.1%
運輸・郵便業68.5%        54.3%       
宿泊・飲食サービス業68.1%47.8%
生活関連サービス・娯楽業79.8%62.1%
建設業66.4%44.8%
情報通信業77.1%60.2%
公務(他に分類を除く)79.5%46.2%
金融・保険業93.2%85.1%
不動産・物品賃貸業80.6%62.9%
研究・専門技術サービス業84.7%67.8%
複合サービス業86.0%68.4%
教育・学習支援業81.1%64.2%
農業・林業52.6%36.8%
電気・ガス・熱供給・水道業80.0%60.0%
鉱業・採石・砂利採取50.0%50.0%
全業種平均76.5%58.4%

全業種の1年定着率の平均値が58.4%であることから、6割以上であれば「定着率が比較的高い業種」であるといえます。例えば、「金融・保険業(85.1%)」「複合サービス業(68.4%)」「研究・専門技術サービス業(67.8%)」「教育・学習支援業(64.2%)」などは、定着率が高めです。一方で、「農業・林業(36.8%)」「建設業(44.8%)」「宿泊・飲食サービス業(47.8%)」などは、離職率が特に高い業種です。

「開示の有無」による定着率の差

障害者の雇用における定着率は、「障害を開示するかどうか」によっても大きく異なります。「一般雇用で障害を非開示」「一般雇用で障害を開示」「障害者雇用」それぞれの定着率は次のとおりです。

<3ヶ月後の定着率>

障害種別一般雇用(非開示)一般雇用(開示)障害者雇用
身体障害者57.1%71.1%86.8%
知的障害者41.7%69.2%91.2%
精神障害者51.9%65.6%82.7%
発達障害者92.0%

(※一般雇用のデータは精神障害者と発達障害者が区別されていない)

<1年後の定着率>

障害種別一般雇用(非開示)一般雇用(開示)障害者雇用
身体障害者41.5%52.8%70.4%
知的障害者19.4%46.2%75.1%
精神障害者27.7%45.1%64.2%
発達障害者79.5%

(※一般雇用のデータは精神障害者と発達障害者が区別されていない)

一般雇用と比べて、障害者雇用ではいずれの障害種別でも、定着率が大幅に高いことが分かります。

障害者雇用における代表的な離職理由・課題点

厚生労働省が2015年に公表した「平成25年度障害者雇用実態調査結果」のデータを参照に、障害者雇用における代表的な離職理由・課題点について見ていきましょう。なお、調査は身体障害者・精神障害者(発達障害者を含む)が対象となっており、知的障害者に関するデータが含まれない点にご留意ください。

身体障害者の場合

身体障害者の離職理由のうち、「個人的理由」61.3%の内訳(複数回答可)は次のとおりです。

賃金・労働条件に不満32.0%
職場の雰囲気・人間関係29.4%
仕事内容が合わない24.8%
会社の配慮が不十分20.5%
障害のためはたらけなくなった16.6%
家庭の事情16.4%
通勤が困難9.7%
出産・育児・介護・看護3.5%

5人に1人が不十分な配慮を離職理由に挙げています。

精神障害者・発達障害者の場合

精神障害者の離職理由のうち、「個人的理由」56.5%の内訳(複数回答可)は次のとおりです。

職場の雰囲気・人間関係33.8%
賃金・労働条件に不満29.7%
疲れやすく体力・意欲が続かなかった28.4%
仕事内容が合わない(自分に向かない)28.4%
作業・能率面で適応できなかった25.7%
症状が悪化(再発)した25.7%                
家庭の事情8.1%
出産・育児・介護・看護1.4%

身体障害者とは異なり、人間関係や体力・意欲の理由を挙げる人が多いです。

はたらくうえで感じた課題

はたらくうえで生じた課題や、改善・充実・整備が必要だと感じた部分は、障害種別に関係なく次のものが多いです。

  • 能力に応じた評価や昇進・昇格
  • 調子の悪いときに休みを取りやすくする
  • コミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置
  • 能力が発揮できる仕事への配置
  • 短時間勤務など労働時間の配慮
  • 上司や専門職員などによる定期的な相談

はたらくために必要な合理的配慮や、自身のスキル・経験を活かせる機会などを適切に得られないことが、障害者雇用での就労の課題となっていることが分かります。

障害者雇用で定着率が高い「はたらきやすい環境」とは

障害者雇用ではたらく人が、職場に長く定着するためには、「はたらきやすい環境」を選ぶことが重要です。障害特性や症状により、向いている働き方や必要な配慮事項は異なりますが、次のような要素がある職場は障害者がはたらきやすいとされています。

オフィス環境が整備されている

障害者の目線で職場環境や設備が整えられているかどうかは、職場選びの重要なポイントになります。例えば、下肢障害のある人が車椅子で移動しやすいオフィスや、視覚障害者のための読み上げツールの導入など、ご自身の障害特性に合った環境が整備されていることが理想です。また、障害者雇用の実績が豊富な企業であれば、従業員が障害に対して理解が深い傾向があるため、安心してはたらきやすいでしょう。

働き方の選択肢が多い

長期就労のためには、障害特性や症状に合わせた働き方(休憩・通院など)を取り入れることが重要です。時短勤務・フレックスタイムなどによる柔軟な勤務時間や、在宅勤務などを選ぶことができれば、長くはたらき続けやすい職場といえます。

障害特性に合う合理的配慮が受けられる

障害者から申し入れがあったときに企業側がサポートする「合理的配慮の提供」は、2016年4月に「障害者雇用促進法」で雇用主に義務化されました。例えば、下肢障害のある方のためのバリアフリー環境や、発達障害のある方には具体的な指示内容を心掛けるなどです。ただし、必要な配慮事項は人それぞれ異なるため、どのような配慮があれば仕事で成果を出しやすくなるかについて、ご自身で伝える必要があります。

人材配置と育成が適正である

前述したデータにもあるように、能力に応じた評価や機会が得られないことが理由で、離職してしまうケースが多く見られます。配慮が得られることは大事ですが、過剰なものではなく、本人の適性を活かした人材配置や教育、スキル・経験を活かすチャンスが得られる職場が理想的です。スキルアップや資格取得などの支援体制が充実していれば、将来的なキャリアアップも目指しやすいでしょう。

障害者雇用ではたらく方が職場に定着するコツ

障害のある方の職場定着率は、障害種別や業種、障害の開示の有無によって大きく異なります。特に、一般雇用枠で障害を開示せずにはたらく場合と、障害者雇用枠で就労する場合では、定着率に顕著な差が出ます。

そのため、これまで一般雇用枠で短期離職を繰り返している方や職場で合理的配慮を得づらかった方が、長期的な安定就労を目指すのであれば、障害者雇用枠のほうが向いているといえます。その際は、次のようなポイントを意識しましょう。

自身の障害特性や症状への理解を深める

障害者雇用ではたらく人の課題として、「配慮が不十分」「人間関係の課題」「症状が悪化した」などを挙げる人が多いです。「職場で理解や配慮が得られるか」は、障害のある方が就職・転職する際の大きな不安となります。

どんなときに困難を感じるか、どのような配慮があれば仕事で成果を出せるかについて、現職で抱えている課題などを軸に考えると、必要な配慮事項が見えてきます。

困り事があるときは遠慮せずに伝える

障害者雇用枠で転職したあとに困り事が生じたときは、無理せず職場に伝えることが重要です。例えば、労働時間や働き方が自分に合わなくてつらいときや、コミュニケーションが取りづらいなどの場合は、配慮を申し出る必要があります。

事前に配慮事項についてすり合わせておいたとしても、実際にはたらく中で課題が見えてくることは多いです。後述する転職エージェントやコミュニティサイトでアドバイスを得ることで、ミスマッチを減らしやすくなります。

適性や興味関心に合った仕事を選ぶ

離職理由に「仕事内容が合わない」、「賃金・労働条件に不満」を挙げる人も多いです。障害者雇用では、障害者がはたらきやすい環境や仕事内容を整えるために、ルーチンワークが多い傾向があります。しかし、専門知識やスキルを活かせる仕事もあるため、ご自身の適性や興味関心に合った仕事を選ぶことが大切です。

dodaチャレンジ」のような障害者雇用専門の転職エージェントを活用することで、ご自身では見落としがちな障害特性や仕事の適性について相談でき、プロのキャリアアドバイザーのサポートを得ながら適職を探すことができます。

障害者向けのコミュニティサイトで情報を集める

転職のプロのアドバイスを得る以外にも、同じ障害がある「仲間」と交流して情報を集めることも大切です。近年では、障害のある方が登録して気軽に交流できる、障害者向けの「コミュニティサイト」が増えています。障害者雇用や働き方に関する情報を集めることで、ご自身の就職・転職に役立つヒントが得られるでしょう。

障害者雇用の定着率でお悩みの方は「あしたのあるきかた」

障害者雇用における定着率は、一般雇用と比べて低くなりがちです。代表的な離職理由は、賃金・労働条件への不満や仕事内容のミスマッチ、人間関係やコミュニケーションの課題などが挙げられ、障害者雇用で安定就労するためには、障害特性や症状に合ったはたらきやすい職場や働き方を選ぶ必要があります。また、主治医やキャリアアドバイザーのような専門家に加えて、本音で相談しやすい「仲間」を見つけることも重要です。

障害のある方が匿名・無料で参加できるキャリア共創コミュニティ「あしたのあるきかた」では、現在求職中・就労中の障害者の方と交流できます。ご自身と同じ境遇にある方に相談することで、どのような仕事・職場を選ぶことで安定就労しやすいか、どんな合理的配慮を受ければはたらきやすいかが分かります。この機会にぜひ登録して、ご自身の働き方や転職活動について考えてみましょう。

非公開: 戸田 幸裕
監修者 パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー

戸田 幸裕

上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント、障害者職業生活相談員

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